Scope1・2・3を基礎から解説 (全3回)・Scope1を基礎から解説 ― 燃料使用の見える化が削減の第一歩 ―(第1回)
公開日:2026/3/16
脱炭素の第一歩は、CO₂排出量の「見える化」です。排出量を把握することで、自社のどの活動が大きな影響を持っているのかが分かり、具体的な削減策の検討につなげることができます。
排出量の整理には、Scope1・2・3という考え方を用います。本コラムではこれらを3回に分けて解説します。 第1回は、自社で燃料を使用して発生する排出であるScope1について、実務の観点から整理していきます。
Scope1とは何か
Scope1は「自社が直接燃料を燃焼させることで発生するCO₂排出」を指します。
つまり、電気のように外部から供給されるエネルギーではなく、自社の設備や車両で燃料を使用したり、製造過程の化学反応で発生させたりしたその企業自身が使うことによって生じる排出です。中小企業の場合、次のようなエネルギー使用が該当します。
主な対象燃料
- 都市ガス・LPガス
- 重油・軽油・灯油
- ガソリン(社用車等)
- ボイラー用燃料(A重油・C重油など)
- 自家発電用燃料

どの設備がScope1に該当するのか
燃料を使用する設備を洗い出すことが、Scope1算定の出発点になります。
代表的な設備例
- ボイラー(蒸気・温水供給)
- 工業炉・乾燥炉
- ガスヒートポンプ空調
- 社用車・配送車両
- 内燃式フォークリフト
- 自家発電設備
製造業ではボイラーや加熱工程、食品業では蒸気設備、物流業では車両燃料が大きな割合を占める傾向があります。
まず何を確認すればよいか
Scope1の算定は、次の手順で進めると整理しやすくなります。
- 燃料の種類を把握する
- 年間使用量を確認する
- 排出係数を掛けてCO₂排出量を算出する
燃料の使用量は、ガスの検針票や燃料の購入量、給油記録などから把握できます。
すでに会計データや管理台帳にある情報で対応できるケースが多く、特別な計測機器がなくても算定は可能です。
IDEC横浜の訪問支援・伴走支援では、「見える化」するセルフ診断ツールの使い方など、CO₂排出量の算出方法をアドバイスしています。
Scope1の特徴と削減の方向性
Scope1は「燃料の使用量そのもの」が排出量に直結するため、削減策も比較的分かりやすいのが特徴です。
主な削減の方向性としては、
- 高効率ボイラーへの更新
- 燃焼設備の運転改善
- 燃料転換(油 → ガス など)
- 電化(ヒートポンプ等)
- EV・電動フォークリフトへの切替
といった対策が挙げられます。
ただし、設備更新には投資が伴うため、まずは使用量の把握と運用改善から着手することが現実的です。
運転時間の見直しや空運転の削減だけでも、燃料使用量の削減につながるケースがあります。
まずは“把握”から始める
Scope1の見える化は、「どの燃料をどれだけ使っているか」を整理することから始まります。
最初から細かな精度を求める必要はありません。年間の燃料使用量を把握し、毎年同じ方法で算定していくことで、自社の傾向や削減効果が見えてきます。

次回は、多くの企業で排出量の大部分を占めるScope2(購入電力等)について解説します。
Scope1とあわせて把握することで、自社の排出構造がより明確になります。(2026年3月19日更新予定)
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